2023年湖北医師会活動を通じて

 湖北医師会長 森上 直樹

 平素より医師会活動に御理解と御協力を賜りありがとうございます。
 新型コロナウイルス感染症に関しましては重症化率が低くなり落ち着いてきた様相ですが、一方コロナ禍の間に息をひそめていた感染症が予想外に増加しており、注視していく必要がありそうです。
 湖北保健医療圏におきましては、人口は既に減少局面に入っており、今後も減少し続けるとともに、老年人口の割合は増加していくことが見込まれます。
 当医療圏の特徴としましては、慢性期を除く病期別の区域内完結率は県内他圏域に比べ非常に高く、救急搬送の管内完結率も高いのですが、その一方で医療人材が不足し慢性期の区域内完結率が低いという問題があります。
 これまで、医師の働き方改革への対応、人口減少に伴い発生する医療従事者確保、今後の医療需要変化への対応などの課題に対し、市立2病院と赤十字病院の役割分担・機能分化の方法が検討されてきました。
 現在、3病院を高度急性期・急性期を担当するA病院、回復期・慢性期を担当するB、C病院に再編して経営の一体化を目指すこと、経営形態に関係なくA病院の場所は大戌亥町とすることが合意されています。
 いずれにしても医師の働き方改革に向けた診療科の集約が急務であり、これまで外科、放射線科、救急科、消化器内科、循環器内科、脳神経外科、泌尿器科の順で3病院の医師を中心として和やかなムードで交流会が行われてきました。
 湖北病院につきましては地域医療構想において再検証要請対象となっておりましたが、へき地医療拠点病院としての地域に必要とされる医療に加え、保健福祉事業を実施し、医療の提供を通じて住み慣れた地域に住み続けられる、防災拠点となる、地域の雇用を創るなど、湖北圏域にとって必要不可欠な病院との認識を共有されております。老朽化が進んでおり、現行の医療法に適合した建物となっていない個所もあり、本館は建替え、新築後は全室個室の120床の病床となり、現在の18標榜科に総合診療科が加わる予定です。
 また、湖北圏域では他の圏域と同様に、急速に進む高齢化に伴い、検案や看取りが増えることへの対応にも迫られています。
 検案に関しましては一部の会員に依頼が集中し、ご苦労をかけていることを会員全体の共通認識とし、令和5年4月にアンケート調査を行いました。86件中50件で自院がかかりつけの場合に検案依頼・病歴照会に応じる携帯電話番号を回答いただきました。自院がかかりつけ以外の検案については19件が協力可能とのことでした。これらを基に警察署と意見交換の上、情報共有を図りました。
 看取りに関しましては、令和4年12月の湖北地域の診療所のアンケート調査によりますと、79%の診療所が往診をされ、64%の診療所が在宅看取りをされていますが、不在時に独り医師の多くの診療所で代診がないのが現状です。看取りの近い患者さんがおられる場合でも、学会、旅行、冠婚葬祭などの際に主治医が安心して湖北を離れられるよう、また患者さんの御家族にも安心していただけるよう、相互扶助の精神で多職種連携を基盤に「在宅看取り代診システム」を構築することとしました。
 10月26日に発足式を行い、まずは浅井・虎姫地区の4名の医師によるモデルチームで運用を開始する予定となっています。
 これまでも湖北医療圏では在宅医療が積極的に取り組まれ在宅看取りも多く、また病診連携・診診連携も顔の見える良好な関係ができていると自負しておりますが、これらをさらに推進していきたいと考えています。
 今後ともご支援を賜りますようよろしくお願いいたします。